【SDGs3】環境問題について考える【持続可能な開発目標3】

SDGsとは、2015年9月の国連総会で定められた、世界を変えるために2030年までに達成すべき17の目標である「持続可能な開発目標(略称SDGs)」のことです。SDGsは、将来に向けて人々の暮らしを持続可能な形で改善していくためにも、必要と考えられています。

また、SDGsの中のひとつに、健康に関わる「SDGs3」があります。多くの人々が平等に、健康に暮らすためにSDGs3は定められています。では、SDGs3とは具体的にどのような内容なのでしょうか?本記事では、SDGs3の意味や取り組み、個人でできる対策などについて紹介していきます。

持続可能な開発目標3

「持続可能な開発目標(SDGs)」は、17の目標と169のターゲット(具体目標)によって構成されています。「持続可能な開発目標(SDGs)」のなかでも、「持続可能な開発目標3」は世界の健康を守るために重要とされています。

では、「持続可能な開発目標3」とは具体的にどのような内容なのでしょうか。「持続可能な開発目標(SDGs)」の意味を踏まえた上で、SDGs3の意味を紹介します。

持続可能な開発目標(SDGs)とは

持続可能な開発目標(SDGs)とは、2015年9月に国連で開かれたサミット内で、世界のリーダーが決定した国際社会共通の目標です。

持続可能な開発目標(SDGs)では、パートナーシップと実用主義の精神に基づいて正しい選択をすることで、将来の世代の暮らしを持続可能な形で改善していくことを目指しています。

SDGs3とは

SDGs3とは、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」というテーマのもと、13個の目標から構成されています。それらの目標は、いずれも世界保健機構の憲文に基づいて、すべての人々が差別されることなく健康を守るために定められています。

世界保健機構 (WHO)の憲文によると、健康について「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。人種、宗教、政治信条や経済的・社会的条件によって差別されることなく、最高水準の健康に恵まれることは、 あらゆる人々にとっての基本的人権のひとつです。」と記されています。

体の健康だけでなく、精神的にも健康で差別されることのない恵まれた世界を実現するために、SDGs3の目標が必要とされています。

社会全体で取り組む

世界には、予防接種やワクチンといった基礎的な医療保険サービスを満足に受けられない人々が約36億5000万人いるといわれています。その中の多くの人々は、病気にかかっても適切な治療が受けられず、命を落としているケースも少なくありません。世界中の人々の命を救うには、世界中の人々が予防接種やワクチンなどの医療保険サービスを受けられるようにすることが大切です。

また、世界保健機構(WHO)は、「差別されることのない健康」についても定義しています。世界中では、日本では考えられないような性別への差別が残っています。性別への差別だけではなく、途上国では「貧困」が原因となり、適切な教育が受けられないというケースも少なくありません。差別・貧困などの問題を解決するためにも、社会全体でSDGs3に取り組む必要性があります。

すべての人に健康と福祉を

SDGs3は「世界中の、すべての人々が平等に健康と福祉を受けられるように」をスローガンとしています。世界では1億1,650万人の乳幼児が3種混合ワクチンの予防接種3回を受けている一方で、 予防接種を受けられずに命を失う子ども達が少なくありません。

世界中の人々が健康で、安心して福祉サービスを受けられるようにするためにSDGs3の目標が定められています。本項目ではSDGs3のターゲット、生まれた背景など、具体的な内容について詳しく説明します。

SDGs3のターゲットは

SDGs3のターゲットは、世界中の全ての人々です。SDGsでは「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」ことを提唱しています。また、SDGs3は「どんな人間でも差別されることなく、最高水準の健康と適切な保健医療サービスを確保できるようにする」ことを目標としています。

SDGs3が生まれた背景

SDGs3は、途上国を中心に、貧困などが原因で医療体制が不十分な国が数多くあることが背景となり、生まれました。日本でも、地方によっては満足な医療が受けられないところもありますが、世界では日本の地方とは比べものにならないほど医療体制が整っておらず、死亡率の高い国も少なくありません。

SDGs3は、地域や国、貧富の違いによる医療格差を削減し、全ての人々が満足な医療や福祉サービスを受けて健康に生活できるよう掲げられています。

SDGs3の取り組み事例

日本の各企業では、人々の健康や環境保全による健康へのアプローチとして以下のような取り組みを行っています。

・自然素材を活用した住まいをつくる取り組み
・ヒートショックを防ぐ技術
・ピンクリボン運動の啓蒙活動、支援活動
・有害物質の排出削減

住宅メーカーでは、赤ちゃんや子どもが舐めても安心できる自然素材などを活用したり、屋内での寒暖差によるヒートショックを防ぐ技術などを取り入れています。さらに複数の企業や組織において、ピンクリボン運動の啓蒙活動や支援活動、有害物質の排出削減などに取り組んでいます。

有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染の状況

有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染は、人々の健康を害する要因となります。本項目では、人々の体内に入ると害を及ぼす「有害化学物質」の意味と、環境問題の状況や対策について紹介します。

有害化学物質とは

有害化学物質とは、人々の健康や環境に悪い影響を与える物質のことを意味します。有害化学物質には、以下のような種類があります。

・重金属
・残留性有機汚染物質
・環境ホルモン

重金属は有機水銀やカドミニウムなどで、体内で蓄積されると害を与えることがあります。残留性有機汚染物質は、PCB、ダイオキシン類、塩素系農薬などであり、難分解性、生物蓄積性、毒性、長距離移動性をもつ有機物質のことです。

環境ホルモンは、人や動物の内分泌系に影響を与えるとされており、体内に入ると生体に障害、有害な影響を引き起すことが懸念されています。

環境問題の状況

日本では、過去にメチル水銀による環境汚染により、水俣病などの公害問題が発生しました。

このような経験を繰り返さないために、国や自治体、産業界などではさまざまな対策が行われました。しかし現在でも、化学物質による有害な影響の恐れが決して無くなったとはいえない状況です。たとえば、現在では以下のような環境問題が人々の関心を集めています。

・ダイオキシンによる環境汚染
・ 環境ホルモン
・ポリ塩化ビフェニル(PCR)の処理の推進

そこで環境庁では、これらの問題を踏まえて、PRTR(環境汚染物質排出移動登録)を導入するため、通商産業省と共同で「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」をまとめました。環境庁では、これらに基づいて各種の調査・研究を進め、行政的な措置について検討を進めていきます。

環境問題への具体的な対策

環境庁はダイオキシン対策について、平成9年8月に「ダイオキシン対策に関する5カ年計画」を策定、さらに大気汚染防止法の施行令の一部改正による規制的措置の実施を行うなど、さまざまな観点から調査、研究等を進めています。

環境ホルモンについては、「環境ホルモン戦略計画SPEED’98」を設定し、各種の調査・研究を進め、行政的な措置のあり方について検討を進めます。ポリ塩化ビフェニル(PCR)の処理など、化学物質対策についても平成8年度の調査結果をとりまとめた「化学物質と環境」概要版を公表するなど、調査や研究を進めています。

SDGs3のために個人ができること

SDGs3の取り組みには、国や企業の仕組み作りだけでなく、個人で活動を推進できるものもあります。本項目では、SDGs3のために個人ができることについて紹介します。

SDGs3.9 有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染を減らす

SDGs3の3.9の条項には「2030 年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。」と書かれています。

プラスチック製品の製造過程では、CO2などの温室効果ガスや有害化学物質などが多く排出されます。大気や水質及び土壌の汚染、有害化学物質は、ビニール袋やプラスチックなどを減らす、再利用することによって個人の消費行動を意識して変えていくこと、無駄なゴミを減らすことで少しずつ改善できます。

環境を配慮する行動

ビニール袋、プラスチック商品によるプラスチックごみは、海洋汚染、地球温暖化の原因に繋がります。

ブラスチックは分解されにくいため、埋め立て処理や放棄されたまま海洋に流れ込むと、海の中で永遠にゴミが漂い続けることになります。このような原因を減らすには、エコバックを使った買い物をする、リサイクル製品を活用するなど、環境を配慮する行動を一人ひとりが行うことが大切です。

身近なプラスチックについて考える

これまでプラスチックで作成されていた製品が、環境のためエコな素材に置き換わっているケースが増えており、それらを選ぶ消費者は少なくありません。本項目では、身近で利用されている環境に優しいプラスチック素材や、プラスチック製品に代わる素材について紹介していきます。

廃プラスチック素材

廃プラスチックとは、使用後廃棄されたプラスチック製品や、製造過程で出たプラスチックのかすや廃タイヤを含むプラスチックを主成分とする廃棄物をあらわしています。再利用して使うことで、資源を有効に利活用できます。

カーボンニュートラル素材

カーボンニュートラル素材とは、石油などの化石資源を利用しない素材のことです。主な素材に、植物由来の原料を使った素材があります。植物由来の素材の種類は、以下の通りです。

・綿花や木材パルプによる化学繊維
・ポリ乳酸繊維
・植物由来原料のポリエステル

上記で紹介した素材は、すべて植物由来原料となります。植物由来の素材は、生産や廃棄時に排出したCO2を、原料の成長過程で吸収したCO2量で相殺する特徴があり、環境負荷を低減できます。