カーボンニュートラルとは?私たちができる環境配慮を紹介します。

地球温暖化や脱炭素社会に向けて、世界中でカーボンニュートラルの取り組みに注目が集まっています。

カーボンニュートラルとは、地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出防止、温室効果ガスを吸収する森林保護などの活動をあらわしています。カーボンニュートラルを意識して生活することで、CO2を削減でき、地球温暖化を防ぐことに繋がります。では、カーボンニュートラルの取り組みには、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

本記事では、カーボンニュートラルが重要視されている理由とともに、必要な対策について具体的に紹介します。

カーボンニュートラル

カーボンニュートラルとは、なぜ行う必要があるのでしょうか。まずは、カーボンニュートラルの意味や、必要な理由について紹介します。

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは、地球温暖化を防ぐために温室効果ガスの排出量と吸収量・除去量を均衡させる取り組みのことです。温室効果ガスとはCO2やメタン、フロンガスなどをあらわし、これらの排出量を削減することが地球温暖化を防ぐために重要とされており、カーボンニュートラルに注目が集まっています。

カーボンニュートラルの実現には、温室効果ガスの排出量を減らすだけでなく、吸収量を上げる必要があるため、温室効果ガスを吸収する森林などの保護が重要と考えられています。

カーボンニュートラルが必要な理由

温室効果ガスの増大を放置しておくと、地球温暖化が進行する要因となってしまいます。そのため、温室効果ガスの排出量を削減しなくてはなりません。

さらに、世界の平均気温は、工業化する前の1850年頃と比較すると、2017年の時点ですでに1℃上昇しており、今後も年々上昇することが予想されます。世界では、海水の温度が上がることによって海面上昇が起こり、国土が海に消えてしまうケースも起き始めています。2100年までにニューヨークやサンフランシスコが水没するという予測も行われており、今すぐにでも地球温暖化を防ぐ対策が求められています。

カーボンニュートラルを目指すライフスタイル

カーボンニュートラルを行うには、まずは3Rの視点に立ち、自分たちが身近にできることから取り組んでいく必要があります。3Rとは、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つのRの総称をあらわしています。

・Reduce(リデュース):無駄なゴミの量を減らすこと
・Reuse(リユース):一度利用したものを再利用すること
・Recycle(リサイクル):使い終わったものを、再び資源に戻して製品をつくり直すこと

3Rを意識して行うことで、資源を有効利用でき、脱炭素社会を目指せるようになります。本項目では、脱炭素社会対策に重要な3Rの対策を行うために必要な行動、対策を具体的に紹介します。

ライフサイクルから排出されるCO2

プラスチック製品は、ビニール袋、傘など生活のあらゆるシーンで多く利活用されています。プラスチック製品は、それ自体から温室効果ガスが排出されるため、製品が増えるほどCO2が多く排出されるようになります。

さらに、プラスチックは排気すると微小なプラスチック粒子になります。この数mm以下、数μmm以下になったプラスチックは、最終的に雨に流され、海へと流れ着きます。流れ着いたプラスチックは、どんなに小さくなっても、分解して消えることはありません。つまり、プラスチックは増えるほど世界中でCO2を増やす原因となり、地球の温度上昇の要因とされています。

脱炭素社会を目指すためにも、プラスチック製品のゴミの量を減らす、再利用やリサイクルを活用して、新たに炭素を作成しないような対策を取ることが大切です。

プラスチックの環境課題

プラスチックは石油から作られており、石油を精製する過程で得られる「ナフサ(粗製ガソリン)」が主な原料となります。さらに、ナフサを高温分解して基礎化学品が製造されます。

プラスチック製造でCO2が排出されるのは、ナフサを高温分解し、基礎化学品をつくる段階です。ナフサを分解する時に「メタン」などのガスが発生します。これらのガスは高温を作り出す際に必要ですが、燃焼時にCO2が発生することが懸念されています。なお、基礎化学品の製造により、年間3100万トンのCO2が排出されているといわれています。CO2排出を削減するには、リサイクル、再利用などを通じて、プラスチック製造を減らすことが重要です。

プラスチックをなくす取り組み

近年、プラスチックをなくす取り組みとして、温室効果ガス削減につながる製造プロセスの改革やリサイクルシステムの確立があります。

その他には、植物由来のものなどCO2を排出しない素材を用いることで、プラスチックの消費量を削減する動きも見られています。また、これらの背景には、脱炭素化を目指す「カーボンニュートラル」という考え方があります。

そもそもプラスチックのもとである化石資源は有限であり、このまま利用を続ければ、いずれ資源が枯渇します。一方で、植物原料は再生可能な資源であるため、原料を有効に活用すれば、化石資源の可採期間延長にも役立ちます。

カーボンニュートラルは素材にはどのようなものがあるか

プラスチックを削減するために、植物由来の原料を使った商品が注目されています。植物由来の素材には、以下のような種類があります。

・綿花や木材パルプによる化学繊維
・ポリ乳酸繊維
・植物由来原料で作成したポリエステル

プラスチック製品では、化石資源の採掘から精製までに多くの製造エネルギーが必要です。一方で、植物由来原料は、商品の生産や廃棄時に二酸化炭素を大気中に排出した場合であっても、原料の成長過程で吸収した二酸化炭素量で相殺されることから、環境負荷を低減できます。

脱炭素社会の実現

日本では、菅義偉首相が、2020年10月に行われた臨時国会の所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることで、少しでも地球温暖化を抑制する効果が期待できることを目指しています。

世界のみならず、日本国内でも脱炭素社会に向けて活動が行われることが予想されます。本項目では、脱炭素社会とは具体的にどのようなものなのか、日本の方針や実現でもたらされるものについて解説します。

脱炭素社会とは

脱炭素社会とは、地球温暖化の原因となるCO2の排出が実質ゼロの社会を意味しています。現在では、120以上の国や地域が脱炭素社会に向けて「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という目標である「2050年カーボンニュートラル」を掲げ、温暖化対策への取り組みを行っています。

脱炭素社会についての日本の方針

日本政府は、脱炭素社会に向けた政策として「グリーン社会の実現」を発表しています。政策による日本の方針は、以下の通りです。

・次世代太陽光発電、低コスト蓄電池、カーボンリサイクル等のイノベーションに挑戦する企業への支援
・地球温暖化対策に有効な製品、サービス、ライフスタイルの選択など、脱炭素ライフルスタイルの転換
・ゼロカーボンシティを掲げている地域の取り組みへの支援

さらに、日本政府は、国民の環境問題への危機感、関心の薄さなどの課題解決に向けて、情報発信や地域活動支援なども方針としています。

脱炭素社会の実現によりもたらされるもの

地球温暖化が進むと、気候変動、異常気象、さらに海面や海水温上昇が起こることが考えられます。期中温暖化は、生態系に影響を及ぼすだけでなく、生活を脅かすことにも繋がるため、これらの現象を防ぐためにも、脱炭素化は欠かせません。

脱炭素社会の実現により、プラスチック製品によるCO2が削減され、温度上昇などの地球環境の悪化を防げるようになります。また、CO2などの温室効果ガスを削減し、地球温暖化への対策が実現します。

カーボンニュートラルのためにできること

カーボンニュートラルのために、私たちができることとはどのようなことでしょうか?まずはカーボンニュートラルに対する意識調査を踏まえた上で、具体的な行動、対策について紹介します。

カーボンニュートラルに対する意識と行動

株式会社電通による「第4回 カーボンニュートラルに関する生活者調査(全国10~70代の男女計1,400人を対象)」によると、カーボンニュートラルの認知率は初の過半数(約52%)となっており、カーボンニュートラルへの意識が高まっていることが見受けられます。

また、「蓄電器の利用」や「脱炭素化の製品・サービスの選択」などを行う人が多い「ハッキリ関心タイプ」の構成比が24.1%と最も大きく、すでにカーボンニュートラルに向けて行動をしている生活者が大部分を占めています。この調査から、カーボンニュートラルに対する意識の高まりや、選択、行動をする人が増えていることが考えられます。

身近な消費行動から変えてみる

カーボンニュートラルのための対策は、生活用品などの身近なものを意識するだけでも可能です。たとえば、一人ひとりが生活用品として使っているプラスチック製品を見直すだけでも、脱炭素化へと繋がります。とくに、3R(スリーアール)のうち、リユース(再利用)は誰でも簡単に意識して行動に移すことができます。

実際にスターバックス、セブンイレブンなどの大手企業では、プラスチックストローをなくして、紙ストローやエコ素材のストローに転換しています。このように、一人ひとりが身近な消費行動を変えていくことで、脱炭素化に繋げることができます。

カーボンニュートラルな生活へ

脱炭素化を目指すためには、一人ひとりが生活用品として使っているプラスチック製品の見直し、そのなかでも、3Rのうちのリデュースを心がける行動をすることが大切です。具体的にどのような考え方、対策を行う必要があるのかについて、わかりやすく解説していきます。

リデュースの考え方を取り入れる

リデュースとは、ごみを減らす、縮小するという英単語であり、カーボンニュートラルでは「ゴミを抑制する」という意味で用いられています。3Rにあるリユース(再利用)と言葉は似ていますが、こちらは使用済みの製品を廃棄せず、繰り返し使うことを意味します。

リデュースはリユースとは異なり、ゴミそのものを出さない取り組みとなります。そもそもリユースは、再利用の際にコストやエネルギーが発生します。しかし、リデュースならゴミの発生源そのものを絶つため、リユースよりも無駄なコスト、エネルギーが不要です。

リデュースの考え方を生活に取り入れることで、ゴミを減らして無駄なエネルギー発生をなくし、脱炭素化に貢献します。

カーボンニュートラルな素材を選び、繰り返し使う

地球温暖化を防ぐには、CO2の排出を抑えた製品を選び、リユースをすることも効果的です。たとえば、綿花や木材パルプによる化学繊維などで作られた製品の選択や、再利用を意識するなどカーボンニュートラルな生活を意識するだけでも、CO2や資源削減に繋がります。

さらに、日常業務ではクラウドツールなどのペーパーレス化ツールを活用することも、紙代、インク代などのコストカットや、資源削減の抑制にも貢献します。